採用担当者必見の職業安定法の改正(後編)

前回は人材募集をする際に明示しなければならない労働条件についてご紹介しました。この職業安定法の改正によって、ハローワークに求人票を出す場合にも当然厳しいチェックが行われますが、自社ホームページや一般の求人広告媒体に求人情報を掲載する際にも、内容をよく確認する必要があります。
続いてその他の職業安定法の改正内容をご紹介します。

「変更明示」が必要な場合はどんなケースか?

募集内容に変更や追加、削除等が発生した際にも、速やかに明示する必要があります。これを「変更明示」と呼びます。特に、募集内容が求職者にとって不利な内容に変更された場合はトラブルの原因となるため、速やかな明示が必要であるとともに、どのようなケースで変更明示が必要かが具体的に示されました。
具体的には以下のケースがあります。

①「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
例)当初:基本給30万円/月 → 基本給28万円/月

②「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)当初:基本給25万円~30万円/月 → 基本給28万円/月

③「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
例)基本給25万円/月、営業手当3万円/月 → 基本給25万円/月

④「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
例)当初:基本給25万円/月 → 基本給25万円/月、営業手当3万円/月

この変更明示の方法については、変更前と変更後で対照できる書面を交付することが望ましいですが、労働条件通知書で変更箇所に下線を引く、着色する、脚注をつける等の方法でも可能とされています。

労働者が変更内容を認識した上で労働契約を締結するかどうか考える時間が確保されるよう、変更明示は可能な限り速やかに行わなければならないことや、変更した理由について質問を受けた際には適切に説明を行うことなども指針に加えられており、留意しなければなりません。

新規学卒者については特に配慮が必要なので募集内容の変更を行うことは不適切であるということや、学卒者については内定までに労働条件明示を書面により行わなければならないことも指針に記載されています。

 

罰則はあるのか?

変更明示が適切に行われていない場合や、当初の明示が不適切だった場合(虚偽の内容や、明示が不十分な場合)は、行政による指導監督(行政指導や改善命令、勧告、企業名公表)や罰則等の対象となる場合があります。また、変更明示や当初の明示について違反があった企業が法違反の是正勧告に従わず、企業名を公表された場合にはハローワークで一定期間新卒求人を受け付けないことになっています。

求人募集の際にはこれらの法改正の内容をご確認いただき、行政指導の対象とならないよう留意していただきたいと思います。