年次有給休暇の平均取得率は49.4%

2017年12月27日に「平成29年就労条件総合調査」の結果が厚生労働省より発表されました。今回はその調査結果について、ご紹介いたします。
この調査結果は常用労働者数30名以上の民間企業から、産業、企業規模別に一定の方法により抽出した6,367社を対象とし、有効回答数4,432社(69.6%)の回答をまとめたものです。また、平成29年1月1日現在の期間の定めのない労働者が調査の対象となっています。

企業規模と年次有給休暇の取得率は比例
平成28年(2016年)1年間に企業が付与した年次有給休暇(以下、「年休」とする)は労働者1人平均18.2日でそのうち労働者が取得した日数は9.0日、取得率は49.4%でした。(付与日数は繰越日数を除く。)企業規模別にみると、取得率が一番高かったのは労働者数1,000人以上の企業で55.3%です。そこから企業規模が小さいほど、取得率も下がっていき300~999人で48.0%、100~299人で46.5%、30~99人で43.8%となります。日数で比較すると、1,000人以上の企業が平均で10.6日年休を取得しているのに対して、30~99人の企業では7.5日と、3日以上の差があります。少子高齢化が進む中で、中小企業の人材不足が一層顕著なものとなっていることは、この年休の取得率からも明らかだと言えるでしょう。
また、業種別にみると、年休取得率が低い業種は「宿泊業、飲食サービス業(32.8%)」、「卸売業、小売業(34.9%)」、「教育、学習支援業(37.2%)」、「建設業(38.0%)」などが挙げられます。一方年休取得率が高い業種は「電気・ガス・熱供給・水道業(71.8%)」、郵便局等が分類される「複合サービス事業(64.6%)」、「情報通信業(58.9%)」などでした。

2020年の年次有給休暇の取得率の目標は70%ですが…
ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議において策定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」において、年休の取得率は2020年までに70%とすることが目標とされています。2013年(平成25年)の調査では48.8%だったので、この4年間での伸び率はわずか0.6%しかありません。非常に厳しい目標と言えるでしょう。

今国会で成立する見通しの労働基準法の改正案では「使用者は、10日以上の年休が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする」という内容が盛り込まれています。5日の取得が義務化されれば、年休の取得率は飛躍的に向上するかもしれません。引き続き、今後の展開を注視していきたいと思います。

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